米国産大麦・ソルガムきび食品利用とプロモーションに関する記者懇談会
アメリカ穀物協会では、2014年5月1日に、米国産大麦とソルガムきびの食品利用とプロモーションに関する記者懇談会を、東京アメリカンクラブで開催しました。開会にあたり、ワシントンCD 本部から、グローバルトレード・マネージャーのアルバロ・コルデロが挨拶。続いて、日本事務所オフィス・マネージャーの星澤道代、協会日本代表の浜本哲郎によるプレゼンテーションを行いました。
開会挨拶
穀物の多様な用途を提供したい
アルバロ・コルデロ
日本訪問を大変楽しみにしておりました。このような機会を得て、米国の穀物業界の動向を紹介するとともに、業界のイノベーションリーダーとして、あらゆる取り組みに力を尽くしていきたいと思っています。
日本におけるプロモーション活動は、極めて重要であると認識しています。市場の拡大に関し、生産の目標をかかげ、どのように供給量を増やしていくのか、市場を広めていくのかということを課題として取り組んできました。その中で、日本市場はとても重要です。
しかし、今後は需要を満たすために供給量を増やしていくことに加えて、いかにして付加価値を提供していくか、ということに注目していきます。健康食品や医療など、市場における穀物の用途は多様に広がっています。このような中で、あらゆる情報を市場に提供していきたい。そのためには、国際的に大きな役割を担い、影響力を持っている日本のような強力なパートナーが必要です。日本と手をたずさえ、米国産穀物製品の多様な用途を広めていくことで、人々の生活改善に向けて発展させていきたいと考えています。
続いて、日本事務所オフィス・マネージャーの星澤道代が、「米国産大麦・ソルガムきびの米国での食品利用と日本市場での可能性」について説明しました。
コレステロール低下などに効果、大麦に含まれるβ-グルカンに期待
米国産大麦には、血中コレステロールの低下、糖尿病予防に効果があるとされている、β-グルカン(水溶性食物繊維)が含まれています。大麦だけが胚乳全体にまんべんなくβ-グルカンを含んでいて、精麦などで損なわれることがありません。アメリカでは 2006 年に、血中コレステロールを下げ、心疾患のリスクを軽減させるということで、「ハートヘルスクレーム」と呼ばれる健康強調表示を許可しました。日本でも、消費者庁による新たな機能性表示制度の検討によっては、大麦のβ-グルカンに対する注目は高まるものと思われます。
ソルガムきびの全粒粉はクセがなく、栄養価が高い
ホワイトソルガムきびは、グレインソルガムをアメリカで品種改良し、雑穀特有の苦みやえぐみを取り除いて食べやすくした品種です。特に、その全粒粉は他の雑穀に比べ、味にクセがなく食べやすいのが特徴です。小麦全粒粉と比べても、ソルガムきびはほとんど味に変わりがありません。また、ソルガムきびの全粒粉には、日本人に不足しがちなミネラルが豊富に含まれています。白米と比較すると、鉄は約 4 倍、カルシウムは約 2 倍、マグネシウムは約 5 倍含まれています。
ソルガムきびは、米や米粉など他の雑穀との相性も抜群!
では、これらの栄養分を多く含んだソルガムきびを、どのように調理すればよいのでしょうか?
ソルガムきびは、他の雑穀との相性もよく、特に米や米粉と一緒に調理すると、より美味しいパンやお菓子を作ることができ、さらには食物繊維も一緒に摂ることができます。使い方は小麦粉と同じ。ただしグルテンが含まれていないので、スターチなどのでんぷんを一緒に使用します。
小麦粉でタルトを作ると、グルテンを形成しないように冷蔵庫でねかせるなどの工程が必要ですが、ソルガムきび粉はグルテンフリーですので、ビニール袋に材料を入れて混ぜるだけで簡単にサクサクのタルト台を作ることができます。また、ソルガムきび粉は、油の吸収率が低く、脱水性が高いので、揚げ物にも適しています。低カロリーでからりとしたものになります。
このように、栄養面でも使いやすさの面でも、ソルガムきびは利用価値が高いといえるでしょう。
日本でも増えつつあるソルガムきび加工食品
以上のように、食品として大きな魅力のあるソルガムきびですが、アメリカでは、グルテンフリーダイエットへの関心もあり、ベーカリー、焼き菓子、スナック類、ビールなど多くの食品に利用されています。
日本では、クッキーやマカロニ、パンケーキミックス粉などが販売されています。また、雑穀ご飯の素や揚げないから揚げ粉、さらには、かまぼこやソーセージの弾力性を上げるためにも使われています。これは、天然由来の品質改良剤として使用されています。
今後も、食品としてのソルガムきび・大麦のよさをアピールしていきたいと思います。
さらに、日本代表の浜本哲郎が、将来の展望もふまえて「米国産ソルガムきび・大麦食品利用プロモーション計画」について話をしました。
“高付加価値食品”として、ソルガムきび・大麦を広めたい
アメリカ穀物協会では、主に、トウモロコシ、大麦、ソルガムきびの 3つの穀物を輸入し、日本市場に広める活動をしています。家畜飼料原料としての重要性は変わらないものの、今後は食品プロモーションとしての位置づけを大事にしたいと考えています。
具体的には、現代の健康志向を鑑み、日本市場で“高付加価値食品”としてのソルガムきび・大麦の利用促進を図りたいということです。その根拠になるのが、2012年に行われた「東アジアの食と農の未来~2040年の東アジアの食糧市場と日本の役割」という調査です。この調査結果のひとつは「スペシャリティ高付加価値食品、食品素材の成長が、東アジアでの農産物消費の増加を形成する」というものでした。
ホワイトソルガムきびの認知度を高めたい
今まで当協会では、ソルガムきび・大麦のプロモーションとして、レシピコンテスト、栄養特性セミナー、食品開発展、メディア試食懇談会などを行ってきました。昨年行われたメディア試食懇談会では、元ミス・ユニバース・ジャパン公式栄養コンサルタントのエリカ・アンギャルさんを迎え、ソルガムきびで健康的に美しくダイエットできる「グルテンフリーダイエット」について、講演を行っていただきました。
これらのプロモーション活動には、ホワイトソルガムきびの認知度を高めるために、ふたつの柱を掲げています。ひとつは、小麦アレルギーなどのグルテンフリー嗜好の人に対し、小麦に負けない“美味しい”メニュー普及させたい、ということ。もうひとつは、特定の嗜好のない人に、ソルガムきびの特徴であるクセのない全粒粉として、他の雑穀と組み合わせて上手に活用してもらいたい、ということです。
日本の食品業界とのコラボで市場の拡大を
大麦においては、大麦食品推進協議会や大麦サポーターズへの積極的な参加を通じて、日本の大麦食品業界と協力し、国産大麦も含めた大麦食品全体の利用拡大に努めていきたいと考えています。その協力のひとつとして、11 月の食物繊維学会では、機能性食品として注目されている「大麦β-グルカンの健康機能」について、情報等の普及をすすめていく予定です。
最後に、参加者からの質問に対し、
より具体的な回答が行われました。
Q:ソルガムきびの特徴を簡単に教えてください。
Q:ソルガムきび粉が、米粉と相性がよいのはなぜですか?
Q:ソルガムきびの炊き方のポイントを教えてください。
Q:抗酸化作用のある有色ソルガムきびは、どのように利用されているのでしょうか?