ソルガムきびサポーターズクラブ インタビュー ヒビノカシ グーテ
棚橋利江さん

ソルガムきびサポーターズクラブ インタビュー ヒビノカシ グーテ棚橋利江さん

愛知県安城市でグルテンフリーの注文菓子店「ヒビノカシ グーテ」を営む棚橋利江さん。ご自身も小麦アレルギーだった棚橋さん(現在は完治)は、アレルギーのある方の気持ちに寄り添って、誰もが美味しく食べられるお菓子を日々探求されています。

Sorghum.jp
棚橋さんが小麦粉を使わないグルテンフリーのお菓子の製造販売をはじめたきっかけを教えてください。

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きっかけは、以前働いていたパティスリーで提供していたアレルギー対応ケーキを「美味しくなかった」と言われたことです。また「アレルギー対応ケーキが美味しくない」という悩みを聞き、子どもたちにも美味しいケーキを食べてほしいと、小麦粉を使わないグルテンフリー菓子の試作を始めました。試作した米粉クッキーを試食した人から「美味しいから売ってほしい」と言われ、販売を開始しました。さらに多様なアレルギー対応菓子の要望が増え、米粉のシフォンケーキなど新たな試作に取り組みました。

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アレルギー対応のお菓子は、どうしても物足りなく感じてしまいがちですね。

棚橋さん
試作を続ける過程でグルテンフリーという食習慣に出会い、グルテンによる病気や腸内環境への影響、また小麦、卵、乳成分以外の食物アレルギーについても苦しんでいる方がいることを知り、「個別対応できる店が必要」と感じ、開業を目指しました。

当初はソルガムきびを知らず苦労しましたが、妹が腸閉塞などの病気だったため「食べたいものが食べられない辛さ」を痛感し、「私が美味しい小麦なしのグルテンフリースイーツを完成させれば喜んでくれる人がいる!」という強い気持ちが励みになりました。現在は、グルテンを含まない米粉・玄米粉・ソルガムきび粉(ホワイトソルガム粉)や、きび砂糖を始めとする精製されすぎない砂糖を使い、誰もが安心して食べられる材料で、日々のおやつを作っています。小麦アレルギーの方だけでなく、一緒に食べる方にも「美味しい」と感じてもらえる菓子を追求しています。

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お店の名前の由来と、誰もが食べられる美味しいものを提供したい!という気持ちが伝わってきました。棚橋さんは、米国産ソルガムきび(ホワイトソルガム)をどのように知りましたか?

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ソルガムきびは、グルテンフリースイーツ本や米粉の菓子レシピ本に、「小麦粉の代わりに使える材料の一つ」としてよく掲載されており、試作時に試した材料のうちの一つです。
米粉、もち粉、玄米粉、発芽玄米粉、コーンスターチ、片栗粉、アーモンドプードルなど色々な材料を試しましたが、ソルガムきび粉が一番小麦粉に近い食感を出すことができました。米粉と合わせることで、日本人好みの柔らかい質感や味わいを出すことができます。

ソルガムきびを配合する最大のメリットは「食感の改善」です。クッキーなどの焼菓子にソルガムきび粉を使わないと、米粉特有の水分の多さからくる「もちもち感」や、せんべいのような「ガリッとした固い感じ」が出て、食べた時に違和感をおこします。ソルガムきび粉を配合すると、小麦粉に近い食感の「サクサク感」や歯切れの良さが表現できるので、当店の菓子にはかかせない材料です。
思わぬメリットは、想像以上に栄養価が高いこと。当店の菓子は、小さなお子様から、砂糖を控えたい大人の方まで、幅広い層にファンがいます。健康のためにも食べて欲しいと思い、ほとんどの菓子にソルガムきびを使用しています。

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ソルガムきびのメリットをご理解くださり、うれしいです。ソルガムきびは美味しいだけでなく、マグネシウム、鉄分などのミネラルも豊富で、また米粉にほとんど含まれていない食物繊維もしっかり摂取できるバランスの良いおやつになりますね。
棚橋さんが小麦粉を使わないお菓子のレシピ開発の過程において、なにか苦労したことはありますか?

棚橋さん
満足できる菓子が作れず苦労したため、フランス菓子の基本レシピをもとに試作を重ねました。多くの時間と材料費を費やし、多くの人に試食してもらい感想をいただきました。例えば、パウンドケーキでは、卵・粉・砂糖・バターを同量使用する基本配合をアレンジし、粉を米粉やソルガムきび粉に置き換え、砂糖をきび砂糖にして減量するなど、目指す味と食感を追求して改良を続けました。試行錯誤の結果、「米粉だと気付かないほど美味しい」「グルテンフリーで美味しい。また買いたい」といった声をいただけるようになり、徐々にリピーターが増えています。

材料の一つである「ソルガムきび」について聞かれることが多く、雑穀の「イネ科たかきび」の仲間で、とても栄養価が高いことを持参した資料で説明することもあります。

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ソルガムきびの特徴や栄養価については、Sorghum.jpサイトにリーフレットが掲載されているので、ぜひご活用ください。
ヒビノカシ グーテさんのお菓子で、特にオススメの商品や人気の商品を教えてください。

ヒビノカシ グーテ 棚橋利江さん棚橋さん
「米粉ときび砂糖のカヌレ」が一番人気で、小麦粉のカヌレより柔らかく砂糖控えめな食べやすさが好評です。米粉特有のゴムのような食感を改善するため、ソルガムきび粉を配合し、もちっとしながらも歯切れのよい仕上がりに。中でも「バニラ」は天然バニラビーンズ使用で最も支持されていて、次に地元愛知県安城市の抹茶を使用した「西尾抹茶」も、濃厚な味わいで人気です。特に半解凍で食べると抹茶アイスのようだと評判になり、「ふるさと納税」の返礼品として登録されました。現在15種類のカヌレがあり、季節ごとに新作も販売しています。また、グルテンフリーのサブレやフルーツがぎっしり入ったフルーツケーキも人気が高いです。

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クッキーやカヌレをいただきましたが、ひとつひとつ丁寧に作られているのがよくわかりました。また、カヌレはこれまで食べたどのカヌレよりも美味しくて感動しました。商品の購入方法を教えてください。

棚橋さん
当店の菓子は賞味期限が短いため、作り立てを提供する予約販売がベースです。対面販売は愛知県安城市の製造所での予約販売や、月1~2回のマルシェでのイベント販売を実施しています。オンラインショップでも販売しており、季節に応じて種類を変更しています。詳細はインスタグラムで案内中です。また、一番人気の「米粉ときび砂糖のカヌレ」は、安城市のふるさと納税返礼品として登録されていて、「さとふる」など複数の納税サイトから申し込み可能です。

※編集注)ご注文方法などは、記事の最後にご紹介しています。

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出来たてのお菓子を食べられるのは安心ですね。本日はたくさんのお話を聞かせてくださり、ありがとうございました。

 

プロフィール

棚橋 利江(たなはし としえ) 棚橋 利江(たなはし としえ)

グルテンフリーと注文菓子の店
「ヒビノカシ グーテ」店主

大学卒業後、食品会社の事務に就職。趣味の旅行中、国内外の多様な料理や菓子を食べ歩く。その後、珈琲専門店での菓子作りを経て、パティスリーの正社員となる。軽度の小麦アレルギーになり(現在は完治)、結婚を機に退職。配偶者の転勤に伴い転居を繰り返し、今の愛知県安城市におちつき一児を出産。2022 年「ヒビノカシ グーテ」開業。製造所の受注販売から始め、イベント・ネット販売をしながら、在庫を持たない作り立ての米粉ときび砂糖の菓子を販売する。

※お問い合わせやご注文は、公式サイトのお問い合わせ、または、公式LINE からお願いします。

<インタビューを終えて>

日々のおやつだから、素朴で美味しく、さらに多くの方がお求めやすい価格設定でご提供されている棚橋さん。試食させていただいたサブレは、サクサク食感でほんのりと甘さを感じる優しいお味で、リピーターのお客様が多いのが納得できました。またカヌレは食感がしっとりしていて、特に季節の食材を合わせたフレーバーがとても気に入りました。これからもソルガムきびを米粉にブレンドして、さまざまなお菓子を作ってくださいね。

現在は、お客様からのご要望で、チーズケーキ、タルト、キャロットケーキなどを試作開発中とのことで、Sorghum.jpサイトで掲載しているレシピにも話題が広がりました。今後は、シャルロットケーキやファーブルトンなど、パティスリーらしい菓子も増やしていきたいとのことで、楽しみです!

インタビュアー
Sorghum.jp 星澤