武市圭さん(Mutter代表)×Sorghum.jp(前編)

クローズアップインタビュー武市圭さん(Mutter代表)×Sorghum.jp(前編)

「誰もが同じ皿を囲める食卓」を目指して。
Mutter代表・武市圭さんが語る、フェアフードとソルガムきびの可能性(前編)

食物アレルギーのある人も、ない人も、同じテーブルで同じ料理を楽しめる――そんな食のあり方を、武市圭さんは「フェアフード」と呼びます。神戸と西宮でアレルギー対応事業を展開するMutter(ムッター)代表の武市圭さんは、食物アレルギーを持つ2人のお子さんが安心して食事を楽しめるカフェとテイクアウト専門店を立ち上げ、冷凍自動販売機の設置にも取り組んでいます。食物アレルギーがあってもなくても、みんな笑いながら同じお皿のものを等しく食べることができる「フェアフード」を提唱している武市さんに、アメリカ産ホワイトソルガムとの出会い、商品づくりへのこだわり、そして「フェアフード」を通じた未来への想いを聞きました。
インタビューは2回に分けてお届けします。

2人の娘さんの食物アレルギーをきっかけに生まれた「フェアフード」

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武市さんはカフェ事業、物販事業、冷凍自動販売機事業などを展開されていますね。武市さんの起業のきっかけを教えてください。
 

クローズアップインタビュー武市圭さん(Mutter代表)×Sorghum.jp(前編)

Mutter代表:武市圭さん(右)、
取締役・料理長:小坂友美恵さん(左)

武市さん

私がこの事業を始めたきっかけは、娘たちの食物アレルギーです。卵や乳製品、小麦といった日常的な食材が、命に関わるリスクになるという現実の中で、「食べたいものを自由に選べない」という状況が当たり前にありました。
外食やイベントのたびに、何が食べられるかを最優先に考えなければならない。ショーケースの前で自由に選べないことや、同じ場にいても同じものを楽しめないことに、強い違和感を覚えました。
その経験から、「それなら自分で作ろう」と思ったことが始まりです。ただ食べられるものを作るのではなく、見た目も美しく、美味しく、むしろ選びたくなるものを作りたい。その想いが、現在のMutter につながっています。

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その強い想いが、「フェアフード」につながっているのですね。

武市さん
「フェアフード」とは、特定の人のための特別な食ではなく、できるだけ多くの人が同じ場で同じものを楽しめるように設計された、新しい食のあり方です。アレルギー、健康志向、ヴィーガン、宗教、文化など、食の制限や背景は人それぞれ異なります。これまでは「個別に対応する」ことが主流でしたが、「フェアフード」は最初からそれらを包括できる選択肢を作るという考え方です。
私たちは、「フェアフード」を単なる商品カテゴリーではなく、これからの社会に必要な「食の共通言語」として広げていきたいと考えています。

ソルガムきびとの出会いとグルテンフリー素材としての魅力

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「フェアフード」の素材として、Mutterで提供されているスイーツやカフェのメニューにアメリカ産ソルガムきびを使用されています。ソルガムきびのことは、どのように知りましたか?

クローズアップインタビュー武市圭さん(Mutter代表)×Sorghum.jp(前編)武市さん
ソルガムきびとの出会いは、16年前です。アレルギーのある娘たちのためのお菓子作りを続けていた中で、「小麦に代わる素材」を探していたことがきっかけで知りました。
当初は私自身の技術も未熟でしたし、まだあまり世間に知られていませんでしたのでレシピなども存在せず、加工には多くの工夫が求められる食材で、日本のお菓子として成立させるには多くの試行錯誤が必要でしたが、長い時間をかけて加工やオリジナルのレシピの工夫を重ねてきました。
現在では、Mutterのプロダクトを支える重要な素材になっています。

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Mutterのスイーツに、ソルガムきびを使用するメリットを教えてください。

武市さん
ソルガムきびを使用する大きなメリットは、栄養価の高さと軽やかな食感、そしてグルテンフリーである点です。
小麦粉を使わないことで、重たくなりがちな焼き菓子でも、ソルガムきび粉を使うことによって、やさしい口当たりに仕上げることができます。また、食物繊維やミネラルが豊富である点も特徴です。
さらに、配合や加工技術を工夫することで、他にはない独自の食感や風味を表現でき、差別化されたプロダクトとして成立していると思っています。

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私たちも、Sorghum.jpなどでアメリカ産ソルガムきびの認知度アップに努めていますが、Mutterのお客様にはソルガムきびのことを、どのように伝えていますか?

武市さん
現時点では、ソルガムきび自体の認知度はまだ高くはありません。
そのため、まずは「美味しそう」「かわいい」「食べてみたい」と感じていただくことを大切にしています。素材の説明を先にするのではなく、まず体験していただく、その上で、「実はこういう素材を使っているんです」とお伝えすると、興味を持っていただけることが多いです。
結果として、ソルガムきびが「特別なもの」ではなく、「新しい選択肢」として受け入れられていく感覚があります。

Mutterおすすめ商品と、日常に取り入れるソルガムきびの使い方

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まずは実際に見て、食べていただくことが大切ですね。ソルガムきびを使ったMutterのおすすめ商品を教えてください。

武市さん
代表的な商品としては、クッキーサンド「てがみ」や、世界一やさしいフィナンシェ「みち」などがあります。
こだわっているのは、「アレルギー対応だから選ぶ」のではなく、「これが食べたいから選ぶ」と思っていただけることです。
見た目のかわいさや、手に取ったときのワクワク感、食べたときの満足感を大切にしています。
ソルガムきびを使うことで、軽やかでやさしい甘さと、独自の食感を実現しています。結果として、アレルギーの有無に関わらず、多くのお客様に選んでいただいています。

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ソルガムきびを使うことによって、「フェアフード」にもつながっているのですね。ただ、小麦を使わないレシピ開発には、苦労された点もあったのではないでしょうか。

武市さん
最も苦労したのは、「美味しさ」と「制限」のバランスです。制限を優先すると、美味しさが損なわれることがありますし、美味しさを追求すると、使える素材が限られてきます。その中で、何度も試作を重ねながら、納得できるバランスを見つけていきました。
また、見た目や食感も含めて、一般的なお菓子と遜色ないレベルにすることには特に時間をかけました。

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Mutterの店舗や、オンラインショップには、見た目もかわいらしいケーキやスイーツが並んでいます。スイーツ以外に、デリやカフェでのソルガムきびを使ったメニューを教えてください。

クローズアップインタビュー武市圭さん(Mutter代表)×Sorghum.jp(前編)武市さん
カフェでは、焼き菓子だけでなく、スープや食事などにもソルガムきびを活用しています。ソルガムきびは主張が強すぎないため、他の食材と合わせやすく、日常的なメニューにも取り入れやすい素材です。
「特別なもの」としてではなく、日常の中で自然に取り入れられる形を意識しています。

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武市さんのご家庭でもソルガムきびは使われていますか?

武市さん
家庭でもソルガムきびは、日常的に使っています。お菓子だけでなく、スープやご飯に混ぜるなど、比較的シンプルな使い方をすることが多いです。
クセが少ないため、子どもたちも自然に食べてくれています。

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Sorghum.jpでもソルガムきびを使ったさまざまなレシピをご紹介していますので、ぜひご活用ください。
Mutterを利用されるお客様から寄せられるアレルギーに関するご相談や、印象的なエピソードがあれば教えてください。

クローズアップインタビュー武市圭さん(Mutter代表)×Sorghum.jp(前編)武市さん
日々、お客様からさまざまなご相談をいただきます。
特に印象的なのは、「初めてショーケースから自分で選べた」というお子様のエピソードです。保護者の方が涙ぐみながらお話しくださることもあり、私たちにとって大きな励みになっています。
また、「一緒に来た友人と同じものを食べられた」という声も多く、単に食べられるということ以上に、体験としての価値を感じていただけていると実感しています。

 

クローズアップインタビュー武市圭さん(Mutter代表)×Sorghum.jp(後編)米国産ソルガムきびを、Mutterのプロダクトを支える重要な素材として活用してくださっている武市さんのインタビューは後編に続きます。
後編では、武市さんに「フェアフード」を通じた未来への想いなどをお聞きしています。
インタビュー後編は、8月上旬に公開予定です。お楽しみに!

 

武市 圭(たけいち・けい) PROFILE

株式会社Mutter 代表取締役社長 武市 圭(たけいち・けい)

株式会社Mutter 代表取締役社長

将来カフェをオープンする夢の為大手コーヒーチェーンに就職。喫茶業・経営を勉強する。
出産を機に退職。子育ての傍らベビーマッサージなどの講師として活動。
2017年3月 Cafe Mutter(神戸市東灘区魚崎)オープン。自身の娘2人が食物アレルギーを持っているため、独学でアレルギー対応食の勉強を始める。その後、日本の至る所の料理人やパティシエを訪ね、師事し、オリジナルレシピを開発。
2022年9月 CAKE&DELI Mutter(西宮市東町)オープン。卵・乳・小麦不使用の食物アレルギー対応専門店を立ち上げる。