2013年12月にユネスコ無形文化遺産に登録されてより注目を集めている和食ですが、私は、和食は世界一ヘルシーな料理だと思います。品数が多く一食で多種類の栄養を摂取できること、ヘルシーな大豆食品や発酵食品が多いこと、雑穀米を食べる食文化など、理由は挙げればキリがありません。
料理の順番もユニークです。欧米のコース料理では、主食のパンは最初に出て来ます。でも日本の会席料理では、うどんやご飯は〆として最後に出て来ますよね。外国人からすると新鮮です。炭水化物は空腹時に食べると血糖値を急上昇させるので、和食の方が身体に優しいと言えるでしょう。
調理法も大きなポイント。和食に多い「煮る」「茹でる」「蒸す」などの低温調理は、「炒める」「焼く」「揚げる」といった高温調理に比べて老化の原因物質をあまり作らないため、老化予防につながるのです。和食って、本当にすごいと思います。
小麦粉で出来たうどんは別ですが、ご飯を主食とした昔ながらの和食は、基本的にグルテンを含みません。和食は、グルテンフリーの食事でもあるのです。
ミス・ユニバース・ジャパンの公式栄養コンサルタントをしていたときも、グルテンフリーの食事を摂ってもらうため、ファイナリストたちに和食を食べるように指導していました。当時はグルテンフリーのパンなどはありませんでしたから、実践してもらうためにはそれが一番の方法だったのです。
グルテンを含む小麦粉の代わりになるのが、ソルガムきび粉です。ソルガムきびは、古くから栽培されている雑穀の仲間。桃太郎に登場する「きびだんご」の材料とも言われていますから、和食と相性が良いことは言うまでもありません。
クセがないので玄米などと合わせても違和感がなく、使い勝手が良いのが魅力です。粉と粒があって、粒はご飯に混ぜて炊いたり、サラダに入れたり。粉はお好み焼きやたこ焼き、てんぷら粉としても使えるんですよ。栄養価も小麦粉より高く、腸内環境を整える働きについても研究が進んでいます。
外国人が和食と聞いて真っ先に思い浮かべるのはお寿司でしょう。私の母国オーストラリアでは、巻き寿司はFUTOMAKIと呼ばれていてポピュラーです。日本とは違って玄米やアボカドなどが使われていることが多く、健康的なファストフードとしてヘルシー志向の人たちに人気があります。
日本から遠く離れた地だからこそ、常識にとらわれることなく、オーストラリア人の好みやライフスタイルに合ったものが生まれたのでしょう。
日本ではこの30年で欧米化が進み、伝統的な和食を食べる機会は減ってしまいました。その素晴らしさを残し伝えるためには、和食とか洋食といったジャンルにこだわらず、このように良いところを上手に取り入れていくのが良いのかもしれません。実は私自身も、お味噌汁にオリーブオイルやポーチドエッグなどを入れて日々楽しんでいるんですよ。
今回紹介するのは、ソルガムきびを使ったFUTOMAKI。アボカドやサーモンのなめらかな口どけと、ソルガムきびのプチプチした食感の両方が楽しめます。