私の母国オーストラリアや、アメリカ、ヨーロッパの国々では、人参やかぼちゃなどの野菜を入れてパウンドケーキ型で焼くセイボリーブレッドが伝統的に親しまれています。英語の「Savory」は、「美味しそうな」「よい香りのする」という形容詞ですが、「塩味の」「塩気の効いた」という意味もあります。セイボリーブレッドはパウンドケーキ型で焼きますが、デザートとしての甘い焼き菓子ではなく、食事としてもいただける塩気のあるパンという感じです。一般的なパンはイースト菌を使って発酵させるので手間も時間もかかりますが、セイボリーブレッドはイースト菌を使わず発酵不要なので、隙間時間で気軽に焼けるのが嬉しいポイントです。塩気があり、食べ応えもあるので、朝食でパン代わりに、ティータイムのお供として、またお酒のおつまみとしてもぴったりです!
ズッキーニは北アメリカやヨーロッパ諸国で昔から親しまれている野菜ですが、日本に入ってきたのは1980年頃。日本のみなさんには比較的新しい野菜という印象が強いかもしれませんが、ラタトゥイユやパスタソースの具としてよく使われていますよね。ズッキーニはカロテノイドなどのフィトケミカルの宝庫で、抗酸化物質として作用するルティン、ゼアキサンチン、βカロチンも豊富です。これらの物質は、艶やかに輝く肌を作り出す強力なサポーターです。特に夏から初秋にかけて紫外線によるお肌のダメージが心配な方には、ぜひしっかり摂取していただきたい栄養素です。また、腸内細菌の餌となる食物繊維も豊富なので、ソルガムきび粉に豊富に含まれる食物繊維と一緒にダブルで腸内環境を改善し、免疫力を高める効果も期待できます。
最近、SDGsという言葉をよく耳にするようになりましたよね。SDGsとは国連が定めたSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)のこと。プラスチックゴミ削減のための活動など、みなさんも日々の生活の中で気をつけていることがあると思いますが、食材を選ぶ時にもSDGsを意識したことはありますか?「健康や美容によい食材か」「安全な食材か」という視点はもちろん大切ですが、もうひとつ、「地球環境に優しい食材か」ということも忘れてはいけません。今回のセイボリーブレッドにも使われている食物繊維やミネラルを豊富に含んだソルガムきびは、アフリカ原産で高温や乾燥に強く、基本的に雨水だけで成長できるので、その育てやすさから紀元前8000年頃には既に栽培化されていたと言われています。現在、地域によっては灌漑設備で使用される水量が水資源ストックの補充量を超えてしまっている場所もあり、地球環境に及ぼす影響が懸念されています。乾燥に強く、人工的な水やりが不要なソルガムきびは、環境にとても優しい食材と言えるでしょう。食材選びにも、ぜひ取り入れていただきたい視点です。