ブラックソルガムきびのことを初めて知った時には、私はとてもびっくりしました。ブラックベリーよりもポリフェノールが多いというのです。抗酸化作用がある食材というと、クセがあるのではないかと心配しました。しかし、食べてみるとまったく苦みも何も感じませんでした。とても使いやすい食材だなと感じました。ブラックソルガムきびは新しい食材なので、アメリカでもブラックソルガムを使った製品はまだそれほど多くはありません。
日本人は健康に良いものが大好きですが、まさにそのような日本人にぴったりの素材です。機能性の素材ですね。これから、供給もさらに増えていくことでしょう。本当に将来が楽しみな「畑のキャビア」です。
「ソルガム」は古くから世界中で使われている穀物で、世界各地でいろいろな名前でよばれているそうです。たとえば「ソルゴー」や「たかきび」、中国では「こうりゃん」、アメリカでは「マイロ」という名前で呼ばれることもあります。
ホワイトソルガムきびは、ブラックソルガムきびよりは前からあって、最初に日本で紹介されてから20年ほどだそうです。日本では、ホワイトソルガムきびは「ホワイトソルガム」として出回っています。
ちなみにアメリカ穀物協会では、穀物の「きび」の仲間であることがわかりやすいように、「ソルガムきび」と呼んでいるそうです。
アメリカ穀物協会の星澤さんが「Ancient Grain of the Future アメリカ産ソルガムきびBOOK」という本を最近(2020年3月12日)に出版し、Amazon経由で購入することができるそうです。
私もインタビューやレシピなどで協力させていただきましたが、ソルガムきびのことが分かりやすく紹介されています。もう少し詳しくソルガムきびのことを調べてみたいという人は、一度読んでみてはいかがでしょうか。
コメ、小麦といった穀物を精白しない全粒穀物として食べると、健康に良い食物繊維を効率よく摂ることができます。グルテンフリーの穀物として紹介されたホワイトソルガムきびですが、「ふすま」部分も白くて味や香りもほとんどないので、全粒粉として用いても、色も味も精白粉とほとんど変わらず、無理なく全粒穀物として食物繊維を取り入れることができるのです。これがホワイトソルガムきびの、ほかの穀物には見られない大きな特徴です。
豊富に食物繊維を含んでいることがわかっているホワイトソルガムきびですが、最近は、さらに機能性の研究が進んでいます。北海道にある帯広畜産大学という大学で、食品科学を専門に研究している福島先生という方が、ホワイトソルガムきびと出会った瞬間、「これは腸内細菌に良い影響を与えるに違いない」とひらめいたそうです。運命的な出会いのようですね。実際に、腸内細菌への影響について研究を進めてくださっているそうです。腸は命の源、身体に必要な栄養は腸から吸収しているのですからね。福島先生の研究は、主にレジスタントスターチと呼ばれる食物繊維に注目しているそうです。これからがとても楽しみです。
京都のお話をしていたら、いつの間にか北海道の帯広のお話になってしまいました。古都といわれる京都は、実はイノベーティブな街で、そこでおいしいグルテンフリーのパンケーキとして親しまれているブラックソルガムきびは、古都の「ニューブラック」・・・新しいトレンドになっていくかもしれませんね。そして、イノベーティブな機能性の研究が北海道の地で進んでいます。私もなんとなくワクワクしてきました。
4回にわたって連載をしたエリカの京都編は、今回で終了です。ありがとうございました。
コラムでご紹介した「Ancient Grain of the Future アメリカ産ソルガムきびBOOK」は、Amazonにて絶賛発売中です。