ソルガムきびの食品としての可能性

ソルガムきびの食用としての可能性「ソルガムきび」は、その淡白な味のため 他の風味をよく活かします。そのため、世界中でお粥、イースト発酵しないパン、クッキー、ケーキ、クスクス、モルト飲料などの原材料として使用されています。

ソルガムきびの伝統的な調理方法はいろいろありますが、茹でた「ソルガムきび」は、もっともシンプルな調理方法です。また、全粒を挽いて製粉したり、外皮を取り除いてから細挽き粉を製造したり、製粉して様々な伝統食品を作るために利用されます。

多くの可能性を秘めた「ソルガムきび」は、米国で研究が盛んに進んでおり、今後大いに期待の持てる研究報告があがっています。

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ソルガムきびは、腹持ちが良いことが知られていますが、その理由ははっきりとはわかりませんでした。そこでアメリカ穀物協会では、帯広畜産大学の福島道広教授のグループと共同で、ソルガムきびの腸内環境への影響を観察しました。最初に、小腸で分解されないソルガムきびの「難消化性画分」を測定し、大腸モデル装置で腸内細菌のエサになることによって、乳酸菌が増えるなど、腸内環境に良い影響がみられました。しかし、生のソルガムきびは、動物実験によって動物の結腸でアンモニアができるなど、良くない影響もみられました。ソルガムきびを調理することによって、この良くない影響はみられなくなり、実際の動物の結腸でも乳酸菌が増えるなどの良い影響がみられることがわかりました。したがって、ソルガムきびは生のままではなく、調理することが大事で、調理によって大腸に運ばれるソルガムきびの難消化性デンプンが増え、プレバイオティクス様な働きを持つ有望な食品になる可能性が示されました。

ソルガムきびの難消化性画分には難消化性デンプンとタンパク質に富む

食物に消化酵素を働かせた後には、消化酵素に抵抗性の物質が残ります。全粒および精白ソルガムきびの粉に消化酵素を働かせて残ったこのような「難消化性画分」が、大腸に運ばれてからどのような挙動を示すのかを、水や熱を加えて調理していない未調理のソルガムきびをヒトの大腸と似た条件を持つ「モデル腸内環境」を用いて調べてみました。全粒と精白ソルガムきびの難消化画分は炭水化物を20~40%(うち14~16%は難消化性デンプン)、タンパク質を36%~58%含んでいました。難消化画分を大腸モデル装置による研究で、一部が資化されて、その結果、乳酸菌などの善玉細菌の数が改善されました。また、食物の難消化性デンプンなどの難消化画分は小腸の消化を免れ大腸へ流れ込むことによって腸内細菌が短鎖脂肪酸とよばれる物質を腸内発酵の副産物として作ることが知られています。難消化性デンプンを豊富に含むソルガムきびでは、培養24時間後に予想通り短鎖脂肪酸の中でも特にプロピオン酸(C3)とn-酪酸(C4)と呼ばれる物質が多く作られていることが分かりました。しかし、同じ腸内発酵によってタンパク質が分解された時に発生する腐敗物質であるアンモニアも12時間で上昇し、pH も上昇しました。

アンモニア量とpHの上昇が起こるのは、ソルガムきびの難消化画分にアンモニアを作るために必要な窒素を供給するタンパク質も多く含まれていて、これが悪玉菌に利用されてアンモニアができているのかもしれません。

生のソルガムきび粉中の難消化性タンパク質は、悪玉菌のエサになって腸内環境を悪化させてしまう

大腸モデル装置でのソルガムきびの難消化画分の発酵試験結果から、副産物の吸収や生理的影響を動物の大腸で観察するために、ラットに未調理のソルガムきび粉を1か月間給餌してみました。
大腸モデル装置での結果と同様に、ソルガムきびを与えたラットの盲腸(結腸の近位端)で乳酸菌の数が増えていました。しかし、ソルガムきびを与えたラットの大腸内では、大腸モデル装置では増えていた短鎖脂肪酸が増えていませんでした。これは、ラットの盲腸中で短鎖脂肪酸があまり作られなかったか、作ってもそれがラットの盲腸から吸収されてしまったためかもしれません。盲腸のpH、アンモニア量、体重、内臓脂肪の量、血清のデータについても、ソルガムきびを食べさせても変わりませんでした。

この理由はわかりませんが、未調理ソルガムきびから腸内細菌が作る短鎖脂肪酸の量が、ラットの盲腸内の環境改善は認められませんでした。

調理済みソルガムきびは、プレバイオティクスとして有望

人間が穀物を摂取するためには、様々な方法によって調理加工が行われますが、特に水を入れて熱を加えて調理する調理が多いと思われます。そのような調理中、炭水化物、タンパク質、脂肪といった栄養素は、その機能や性質が変化します。そのため、調理されたソルガムきびにおける腸内細菌とその働きにどのような影響を及ぼすかを調べてみました。

調理済みソルガムきびを与えたラットでは、盲腸(大腸の近位端)の腸内環境を良くする短鎖脂肪酸、特に酢酸とn-酪酸の量が改善されました。また、大腸壁を守る物理的バリア(粘液)の成分(ムチン)と病原菌と戦う物質(免疫グロブリン)も高くなりました。さらに、餌の摂取量、体重増加、内臓脂肪量と脂肪細胞のサイズが低くなりました。

これまでの観察から、調理済みソルガムきびから、腸内細菌によって腸内環境を良くする短鎖脂肪酸が作られていると思われます。また、短鎖脂肪酸の量は未調理ソルガムきびの場合より多く作られ、身体に良い影響を与えると考えられます。その結果が、ラットに良好な効果として現れたと考えられます。ソルガムきびを調理することによって、大腸に運ばれる難消化性デンプンが増え、プレバイオティクス様な働きを持つ有望な食品になる可能性が示されました。

(注)このまとめは、これまでに得られた試験管内及び動物実験の研究成果に基づいてソルガムきびの栄養学的な特性について参考利用のためにアメリカ穀物協会が記したものである。人に対する効果は検討をしていないため、このまとめのいかなる利用による責について、アメリカ穀物協会ならびに帯広畜産大学はそれを負わない。

ソルガムきびの大腸への影響、大腸がん・大腸潰瘍への効果(予防)を研究。
ソルガムきびはグルテンフリーなので小麦アレルギーの人の代替品として食されている。ソルガムきびは食物繊維が豊富で、また特定のソルガムきびの”ふすま”には特殊な抗酸化物質が多く含まれており、動物実験ではある種のソルガムきびを食べ続けることにより大腸の潰瘍が50%減ったという効果が出ている。人間にも同様の効果が出るものと考えられる。またソルガムきびには代謝が遅い繊維が含まれているので、それらを通じて、特に糖尿病や肥満などの病気が減ることを期待している。

食肉加工品の品質、フレーバーについて研究。
牛肉、豚肉を使った製品で、ハンバーガ―のパテなど食肉加熱加工食品について研究している。
一般的に保存効果を高めるためには抗微生物や抗酸化物質が利用されるが、米国では最近、”ナチュラル”なものへの人気が高まっており、ソルガムきびの”ふすま”に入っている抗酸化タンニンに注目している。
油の酸化を抑えるものとしてローズマリーや化学品があるが、それ以外の酸化抑制作用のあるものとしてソルガムきびが挙げられる。
ソルガムきびに含まれる抗酸化物質は優れた作用があり、”ナチュラル”な抗酸化物質として現在、アメリカの食品小売業などの食品業界が高い関心を示している。
私自身、子供を持つ母親としてソルガムきびを学校給食にも使ってもらえることを期待している。
また大きな市場としては学校給食の他、ピザのトッピングやサンドイッチに使うソーセージのパテなどが考えられる。

ソルガムきびの育種について研究。
品質向上、品種改良、収量の増加、干ばつ・高温・害虫などのストレス対策について研究を続けている。収量の増加、また時と共に変わってくる害虫対策の面でソルガムきびは新しい技術の導入により改良を続けている。現在のところ米国では遺伝子組み換えによるソルガムはなく、今後もないと思われる。ソルガムきびは健康志向食品としての可能性があり、タンニン、アントシアニンなどの抗酸化作用を持った物質を含んでいる。

ソルガムきびには様々な色素の違いがあり、色と抗酸化作用の関連性については現在、解明中だ。育種という点では抗酸化物質を多く含むソルガムきび、また収量の上がるソルガムきびを作ることだが、現在いくつかの可能性が見えてきている。今後も化学や生理学などの専門家と我々育種の専門家が努力し連携して、良い品種を作っていきたいと思うし、食用としてのソルガムきびの需要は今後益々増えると思われる。
ソルガムきびは乾燥している場所での生育に適しているので、生育に必要な水が少なくてすみ、環境に優しい穀物ということが言える。また干ばつにも耐えられる持続可能型の農業に適している穀物である。

ソルガムきびの健康面へのベネフィットにつて研究。
ソルガムきびはユニークな栄養面での性質を持っている。そのひとつが抗酸化物質だが、他の穀物より多く、また野菜や果物よりも多いことが分かった。
この抗酸化物質が人の細胞の損傷や癌にどのような影響を及ぼしているのかを調べたところ、今のところ非常に期待の持てる結果が出ている。ソルガムきびに含まれる抗酸化物資で細胞の損傷や炎症をコントロールすることにより、長期的に癌や心臓病など病気の予防ができると考えている。
またソルガムきびを大量に摂取しなくても、他の食べ物と一緒に日常生活の中で摂ることで、その効果は得られると考えている。
今後はソルガムの中の物質がどのように人間の体内で有効に利用されるかをさらに研究していく。

抗酸化物質としてのポリフェノールなどがソルガムきびにはどのくらい含まれるかを研究。
ソルガムきびにはとうもろこしやイネ・小麦などに入っている栄養の他に抗酸化物質ポリフェノールなどを含んでいる。ソルガムきびには抗ガン作用や細胞の障害を防ぐ作用があると考えられるが、その他の可能性として大きいのがアンチアンチエイジング。またソルガムきびの色素を食品に使うことができると思っていて、色をつけると同時に健康的な効果も得られると考えている。
またレモンイエローのソルガムきびにはフラボノイドが含まれており、柑橘系の食物に比べその量は3倍、またブラウンソルガムきびには10倍以上の量が含まれている。
その他ソルガムの有利な点としては、乾燥しているので、水分を多く含んでいるものと比べ長期保存が可能で、しかも濃縮できるというということ。

47年間ソルガムきびについて研究。ソルガムきび研究の世界的権威者。
以前は背が高く、実がなるまでに時間がかかったソルガムきびだが、背が低く、比較的短期間で実がなるハイブリッドソルガムきびをソルガム転換プログラムとして研究、開発をしてきた。また世界各地でソルガムきびの改良や普及に携わってきた。
この仕事を始めた当初はソルガムきびの家畜の飼料としての利用を目指していたので、飼料としての栄養価や効率を下げてしまうソルガムきびに含まれるタンニンを取り除くことを目的としていた。しかしタンニンは家畜の飼料としては適切ではなくても、難消化性の繊維を含むということでタイプ2の糖尿病に効果があるのではないかと考えた。

また食品として加工する際には色や抗酸化性ということから食用にはメリットがあると考えた。 ソルガムきびを全粒で使った場合には、ファイトケミカル(植物由来物質)と呼ばれるいろんな物質(栄養素)が入っているが、それは主に粒の外側にあるため、精白するとそれらの栄養素は失われてしまう。
また、ソルガムきびの外側には食物繊維やポリフェノールも含まれていており、他の穀物に比べ一般的に栄養価が高いと言える。
ソルガムきびは古くから使われている穀物であり、グルテンフリーのマーケットの中でもポジティブに見られているので、ソルガムきびの市場は今後も増えていくと思われる。
ソルガムきびは比較的安価な材料として使えるし、またいろんな加工、応用ができる。今後、タンニンを含んだ収量の多いソルガムきびも出てくると思うので、ソルガムきびはより良い食品を作るために役立っていくと思う。

穀物の加工についての教育や研究並びに産業界からの依頼による研究。
この3~4年はソルガムきびの加工についての研究が増えている。また米国農務省、ソルガムきび生産者の団体からの研究資金も増えてきている。近年は食品としてのソルガムが注目されていて、特に健康面で注目されている。ソルガムきびは他の穀物に比べ消化性が遅いということで、肥満や糖尿病の人がローカロリーの食品として使うことができるということがひとつの特徴。もうひとつは抗酸化物質を含み抗がん性の可能性があるという、とてもパワフルなもの。健康面、栄養面の他、加工面ということでは、他の穀物と同様に加工が可能かという依頼も増えている。それらを通じてソルガムきびが栄養面、加工面でとても優れた穀物でることを示す研究を今後も続けていく。

米国内のソルガムきびは(毎年多少の変動があるが)約250万ヘクタールの農地で生産されており、そのうち約40~45%が輸出されている。ソルガムきびはこれまで、家畜の飼料原料としてとうもろこしの9割の栄養価しかないと思われていたが、最近の研究ではとうもろこしと同じ栄養価があることが分かった。米国では食用としてのソルガムきびの活用はまだ全生産量の1%未満で、量としては非常に少ないが、グルテンフリーの穀物として、また特にホワイトソルガムきびはスナックなどに使われる量は増えており、その需要は毎年確実に増えている。

主にソルガムきびの人の健康への影響を研究。
具体的には糖尿病や肥満、心臓病についての効果を研究している。
ソルガムきびをマフィンやオートミール状にして使っていて、ソルガムきびの中でも有色系のものについて調べている。
特にブドウ糖値のコントロールについて研究しているが、いままで分かったことは、熱を加えてもその効果に影響がないということで、マフィンやパンなどの食品として使ってもその効果が失われないということが分かった。
ソルガムきびには食物繊維が多く、ブドウ糖の吸収をコントロールし抑えるという効果があるので、米国で増えている糖尿病を、ソルガムきびの全粒を摂取することによってコントロールできることが判ってきた。もうひとつは抗酸化物質で、他の穀物やこれまでに抗酸化物質含有量の高い食品として知られているフルーツやベリーよりももっと多く含まれ、特に有色系のソルガムきびからは多く得られることが分かってきた。このような点からソルガムきびは食物繊維、また抗酸化物質の面から非常に有望な食品だと考えている。この抗酸化物質は、小麦やコメやとうもろこしにはほとんど含まれず、ソルガムきびの全粒に特に多く含まれていると言える。
様々な研究機関と共にソルガムきびについて研究しているが、私たちの研究が幅広い健康面でのベネフィットがあるソルガムきびのさらなるベネフィットを見つけ出していると考えている。それらを通じて、食品としてのソルガムきびのベネフィットがさらに広く有効利用されていくことになると思うし、その結果、米国国内のみならず、世界中の人々の健康に貢献するものと考えている。

ソルガムきびはこの7~8年、小麦を食べられないセリアック病の人たちのための食品として小麦の代わりに使うということを考えている。米国ではソルガムきびは家畜の飼料として主に利用され、最近ではバイオ燃料として注目されているが、私たちは食品としてのソルガムきびに注目している。特にホワイトソルガムきびに注目していて、”ふすま”を除いた高品質の製品を使っている。栄養面ではSumacと呼ばれるタンニンが多い品種に含まれるフェノール化合物などが高い抗酸化性を示す物質に注目している。タンニンが多く含まれている品種には抗酸化物質が多く、ブルーベリーなどと同じレベルの抗酸化性を示している。ソルガムきび以外のフェノール化合物を含む食品循環器病や癌の予防に効果があると考えられる。ソルガムきびのひとつの大きな特徴はそのようなフェノール化合物を高いレベルで含んでいるということだ。米国ではほとんど全てのソルガムきびはタンニンを含まない品種と捉えられているが、私たちはタンニンがあるということが必ずしも悪いことだけではないと考えている。たんぱく質の消化性が悪いのも、必ずしもそれが悪いことではないし、それを逆に機能性食品の形として使っていくことができるのではないかと考えている。たとえばSumacのようなハイタンニンのような品種も、その点からは良いものではないかと考えている。
ソルガムきびに含まれているでんぷんやたんぱく質をどのように有効利用して、品質の良いものを作っていくか、またセリアック病の人に確実に供給していくことが今後の課題だ。

ソルガムきびの生育、収穫を家族と共に約100年間続けている(ローマー氏は4代目)。
ソルガムきびは少ない水、少ない天然資源でも育つので、環境に優しく、また農薬も必要ない作物だ。ホワイトソルガムきびは小麦アレルギ―の人にとってはグルテンフリーの粉として使われているが、スナックの他、一般消費者にもベネフィットのある製品を作ることができる。またブラウンソルガムきびは健康によい成分を多く含んでいる。
耕作技術の革新により、畑を耕す能力の進歩し、より多くの消費者により多くの良い製品を届けることかができるようになったことが喜びだ。

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