クローズアップインタビューVol.5 菅原卓也先生 × 浜本哲郎

クローズアップインタビューVol.5 菅原卓也先生 × 浜本哲郎

PROFILE

菅原 卓也 先生

愛媛大学 農学部 生物資源学科 応用生命化学専門教育コース・動物細胞工学教育分野 准教授 博士(農学)
動物培養細胞技術や、動物実験を用いて食品成分の免疫促進活性、アレルギー抑制活性、メタボリックシンドローム予防効果を研究

浜本 哲郎

アメリカ穀物協会 日本代表
農学博士

グルテンを含まないソルガムきびは、小麦アレルギーの方にとっては救世主といえる食材です。さらに近年の研究からは、アレルギー対策の食材だけでなく、アレルギーを抑制する成分も含まれている健康志向の食材であることがことが分かってきました。
今回は、食品機能学の分野でホワイトソルガムきびの免疫促進活性、アレルギー抑制活性を研究する愛媛大学 農学部 生物資源学科 准教授の菅原卓也先生とアメリカ穀物協会 日本代表 浜本哲郎がホワイトソルガムきびの研究で解明された食材としての可能性について対談しました。

アレルギー抑制、免疫促進など
さまざまな健康志向食材として期待が高まる
ホワイトソルガムきび

菅原 卓也 先生浜本
初めに、先生のご研究の専門分野を教えていただけますか。

 

菅原先生
食品の機能性評価とその有効利用を主な課題として取り組んでいます。特に力を入れているのが機能性食品の開発です。食品の機能性といっても、”免疫の促進”、”アレルギーの抑制”、”メタボリックシンドロームの予防”、”血圧の低下”など多岐にわたります。
そのような健康機能に関連した効果を持つ物質を食品の中から探し出し、その物質が何なのか、またどういうメカニズムで効くのかなどを解明する研究に取り組んでいます。
さらに、企業との連携でそれらを使った機能性食品を開発することを目標としています。

 

浜本
健康志向の食材のひとつとして期待される、ホワイトソルガムきびを研究されているのですね。

 

菅原先生
そうです。様々な健康効果が期待できる食材として現在ふたつのテーマでホワイトソルガムきびの研究に取り組んでいます。ひとつめは、ホワイトソルガムきびの胚乳に含まれる、免疫力を高める効果のある物質について。この物質はタンパク質だと考えられていますが、どのような性質のタンパク質なのか、分子の大きさがどのくらいであるのかなどを解明するために、研究を進めています。
ふたつめは、ホワイトソルガムきびのふすまに含まれる、アレルギーを抑制する物質の研究。この物質は脂肪酸がメインの活性物質である可能性が高く、これまでの研究で、ホワイトソルガムきびのふすまに多く含まれるリノール酸や、リノレン酸などが、実験動物レベルでアレルギーを抑制する活性を持っていることが明らかになりました。

 

浜本
これから機能が解明されるのが非常に楽しみです。

 

菅原先生
そうですね。現在のところ、シャーレ内での細胞培養実験、あるいは動物実験で効果が確認されている段階ですので、実際に人の生体内で効果があるかどうかを解明していく予定です。

 

浜本
ホワイトソルガムきびのふすまにあるアレルギー反応を抑制する物質ですが、こちらの成分について、詳しくお聞かせいただけますか。

 

菅原先生
現時点で見つかっているのは三種類の物質で、そのうちふたつは、リノール酸、リノレン酸という脂肪酸であることがわかっています。ふすまには脂肪酸が豊富に含まれ、これらの脂肪酸がアレルギーの抑制にも効果を発揮していることが既に分かっています。今後の研究で注目し、さらに解明しようとしているのは、ふすまに含まれるもうひとつの物質です。この物質もアレルギーを抑制する活性を持っていることまでは分かっていますが、さらにその成分の特定に現在取り組んでいるところです。

 

浜本 哲郎     アメリカ穀物協会 日本代表浜本
現在、ホワイトソルガムきびを使った、新しい製粉製品や食品メニューの開発など、様々な食品への応用が考えられていますが、先生のご研究の成果を元に、ホワイトソルガムきびは、どの様な食品の素材として有望でしょうか。

 

菅原先生
ホワイトソルガムきびの健康志向の食材としての特長は、熱を加えてもその効果が余り低下しないということです。特に、アレルギー抑制物質に関しては、熱を加えることで逆に効果が高まるという結果が出ています。
また、ホワイトソルガムきびは比較的、色々な加工に適した、優れた食材ですので、スナック菓子や麺など様々な加工食品に応用できるのではないでしょうか。

 

浜本
今後のホワイトソルガムきびの研究ついてお聞かせ下さい。

 

菅原先生
ホワイトソルガムきびに含まれるアレルギー抑制や免疫促進免疫促進等の効果が、人が食べても効果があるかどうかを解明していくことが目標です。今のところこれらのに関しては動物実験の段階ですが、具体的に加工食品が出来た時には、人に食べてもらい、実際にその人のアレルギー症状がどの様に変化するか研究したいです。医師との共同での研究になりますが、今後はその様な展開も十分に期待できると思います。

 

浜本
ホワイトソルガムきびは、健康志向の日本人にとっても新たな穀物として非常に有望で、食品素材として普及されていくことが期待できるということですね。

 

菅原先生
そうですね。日本には昔からきびがありますが、ホワイトソルガムきびは日本人にとって比較的新しい食材ですので、今後様々な展開が期待できます。特に、グルテンを含まないことから、アレルギーの原因にならず、さらにアレルギーを積極的に抑える効果がありますので、アレルギー抑制・アレルギー対応食品という形で、展開できるのではないか思います。

 

浜本
本日はありがとうございました。

「米国産大麦とソルガムきび由来成分の新たな健康ベネフィットクレーム」セミナー

>> 菅原先生の「ホワイトソルガムの健康機能」講演資料pdf