クローズアップインタビューVol.4 大森由紀子さん

クローズアップインタビューVol.4 大森由紀子さん

PROFILE

大森 由紀子 さん

フランス菓子・料理研究家。お菓子とフランス惣菜のお教室「エートル・パティス・キュイジーヌ」を主宰。
フランスの伝統&地方菓子を伝える協会「ル・クラブ・ド・ラ・ガレット・デ・ロワ」理事、テレビや雑誌など多数メディアに出演。「わたしのフランス地方菓子/柴田書店」「ママンの味、マミーのおやつ/文藝春秋」など著書多数。

フランス菓子・料理研究家としてご活躍中の大森由紀子さんに、お菓子の食材としてのホワイトソルガムきびの魅力や新たな可能性を伺いました。
大森さんが先ごろレッスンでご紹介されたホワイトソルガムきびを使ったオリジナルのお菓子2品など、ホワイトソルガムきびの特徴を生かし、お菓子に使う場合のポイントなどをおうかがいしました。

ホワイトソルガムきびはお菓子作りに最適
バターなどの油と相性が抜群で、素材になじみやすい

大森氏が主宰される教室で、ホワイトソルガムきびを使ったお菓子を題材にされたとお聞きしました。以前、当協会で実施しましたレシピコンテストでもたくさんのお菓子のレシピが集まりましたが、今回のお菓子についておうかがいします。

大森 由紀子 さん大森さん
今回はホワイトソルガムきびの粉を使用して「ホワイトソルガムと豆乳のフラン」と「フラワー ソルガム」の2品を調理しました。「ホワイトソルガムと豆乳のフラン」は、フランスのお菓子屋さんでは定番のフランのクッキー系のタルト生地とフィリングの両方にホワイトソルガムきびを使用しました。ホワイトソルガムきびはバターとの相性が素晴らしく、クッキー系のタルト生地には最適で、素朴な味わいのサクッとしたタルト生地が出来上がります。また水溶けの良いホワイトソルガムきびは、卵や豆乳など水気のあるものとも混ざりやすく、なめらかなフィリングを作るのに向いています。

「フラワーソルガム」は、フランス菓子でよく使用するフラワーケーキ型で焼いたホワイトソルガムきびの焼き菓子です。焼き菓子の生地を小麦粉の代わりにホワイトソルガムきびにすることで、軽い食感に仕上がりました。

生徒さんのご感想はいかがでしたか。

大森さん
今回は、「粉」をテーマにしたレッスンの一つとしてホワイトソルガムきびを使用したレシピを題材にしました。他には、そば粉、ライ麦粉などを取り上げました。その中で、ホワイトソルガムきびは初めて知ったという生徒が多かったこともあり、「粉」をテーマにしたレッスンの中で一番、生徒たちが興味を示していました。
レッスンに参加する生徒は、新しいものが好きで研究熱心な方が多いため、ホワイトソルガムきびのお菓子は良い勉強になったようです。教室では、フランス菓子・フランスのお惣菜をテーマにレッスンをしていますが、必ずしもフランスの食材にこだわるのではなく、日本で手に入る食材を使ったレシピをご紹介しています。ホワイトソルガムきびのように可能性のある食材は非常に期待が持てますね。

この2品のレシピを完成するまでに、いろいろと試行錯誤されたのでしょうか。

大森由紀子さんとアシスタントの若林みゆきさん大森さん
ホワイトソルガムきびは私も初めて扱う食材でしたので、何回も試作を繰り返しました。お菓子づくりの成功の鍵は、7割が計量、後は勘と経験によるものです。ベースになるレシピはフランスのお菓子ですが、小麦粉の代わりにホワイトソルガムきびを使う場合の配合量を何度か試作して丁度良いバランスを見つけました。

ホワイトソルガムきびはバターなど油性のものと相性が良いので、バターを多めに使用するビスケットやパウンドケーキにはとても向いていました。しかし、ババロアはなめらかな食感が出しづらく色も真っ白に仕上がらず、もう少し研究の余地があるようでした。

スポンジケーキも試作してみましたが、小麦粉の場合と同じ分量のままでは、若干ぱさついたので丁度良い分量を更に研究した方が良さそうです。

バターを多く使用し、サクッとした食感を出したい、スコーンやワッフル、パンケーキなどにも向いていると思います。雑穀パンもおもしろそうです。今後は、お菓子だけでなくフランス惣菜などお料理の方でも試してみたいと思います。

ホワイトソルガムきびの特徴で他にお教えいただけますでしょうか。

大森さん
もともと、ホワイトソルガムきびはクセのない食材ですが、それでも材料の組み合わせや分量の差でまた違った味わいになります。水分が少ないとホワイトソルガムきびの味が際立ち、個性を出しやすくなります。逆に水分を増やすとまろやかになります。

フランス菓子の中で日本人に好まれるお菓子はどのようなものですか。

大森さん
フランスのお菓子は日本人に好まれるものが多く、教室で紹介するお菓子はほとんどが好評です。今までも、クイニ―アマン、カヌレ、ガレット・デ・ロワなど日本ではフランス菓子のブームが何回もありましたから日本人にとってフランス菓子は益々身近なものになったのではないでしょか。強いて言えばライスプディングのようなお米を使ったお菓子には日本人は抵抗があるようです。ホワイトソルガムきびには粒タイプもあるので、ライスプディングのお米の代わりにホワイトソルガムきびを使うと、お米でないので抵抗感が薄れるかもしれないですね。

フランスでは今どのようなお菓子が人気なのでしょうか。

大森さん
フランスには年に数回行きますが、昔と違って流行のサイクルが早くなりました。1年も経てばお店が変わっていることもしばしばです。最近のフランスのお菓子は、全く新しいものを生み出すというよりは、伝統ある定番のお菓子をデフォルメしたものが多いようです。例えば、クッキー生地でクリームやフルーツを挟んだものをタルトと称したり、アイディアやプレゼンテーションにこだわったものが増えてきました。

また、お菓子以外の食文化にも変化が見られます。最近パリに行った際、保存用ガラス瓶にクスクスや野菜、煮込み料理などを入れたランチボックスが流行っており、パリのランチ事情も随分変化していました。

フランスの地方菓子の研究をライフワークにされていますが、ソルガムきびの特徴が活かせそうなお菓子をお教えいただけますでしょうか。

大森さん
保存食にもなるスパイスクッキーのような硬めのクッキーやスパイスパン、ブルターニュ地方のファーブルトンや本来はトウモロコシ粉を使うミヤス、バスク地方のクッキー生地でつくるガト―バスク、トスカーナのビスコッティなどが向いていると思います。

フランスにはパイ生地を使ったお菓子が多くありますが、ミルフィーユのような何層もの層をつくるパイ生地は、グルテンが必要なため、パイ生地をホワイトソルガムきびでつくる場合は小麦グルテンに代わる材料を考える必要があります。

本日、ホワイトソルガムきびを使った新作のお菓子をご用意いただきましたが、これはどういったお菓子なのでしょうか。

ソルゴ―・オ・シトロン大森さん
このお菓子は”ソルゴ―・オ・シトロン”と言います。このお菓子は、ロレーヌ地方のサント・マリー修道会によって考案されたヴィジタンディーヌのレシピをベースにつくっています。ヴィジタンディーヌはフィナンシェに似た焼き菓子で専用のヴィジタンディーヌ型を使って焼きます。今回は小麦粉の代わりにホワイトソルガムを使用したレモン風味の生地にしました。焼き上がった後、レモン風味のアイシングをかけ、味にアクセントを付けています。

ホワイトソルガムきびは、フランス菓子とも相性が良く、今後もっといろいろと、試作をしてみたいと思います。また、粉だけでなく粒もおもしろそうなので、試してみたいです。フランスではクスクスをよく食べるので、クスクスのようにするのも良さそうです。

教室でホワイトソルガムきびのレッスンを受けられた生徒で、自宅でもホワイトソルガムきびを使ってみたという方がいらっしゃいました。好奇心を持つことは生活の中も潤い、とても楽しいものです。もっと多くの人にもホワイトソルガムきびを試していただきたいと思います。

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